エンタメ系Pのネタ帳

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『愛の不時着』大ヒットの理由~ほかの韓国ドラマとの違い

久々に来ましたね、韓国ドラマ旋風再来。


もちろんコロナで自粛在宅期間ということもありますが、空前の大ヒット!
そしてNetflixオリジナルのクオリティの高さ。Netflixの日本での公開から3か月たった今なおTop1(5月18日時点)に君臨している「愛の不時着」

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<写真:tvN公式HP>

 

日本でNetflixで公開される前に韓国のTvnにて今年の2月まで放送されていたのですが、
韓国での視聴率においてあの「トッケビ」を超えたとのことです。

 

ジャンルとしては、これは決してアクションではない、ヒューマンドラマだと思います。もしくは2つの時代を行きかうようなSFっぽい要素さえ感じられます。

 

また、見る前は、北朝鮮の兵士と韓国の財閥の娘という現代版ロミオとジュリエットというわかりやすい構図で表現されることが多いですが、実際はもっと見どころがだくさんある内容の濃いドラマだと思います。


これまでの韓国ドラマといえば!というような・・・

→これでもか!というほど容赦なきラブロマンス、
→エグイくらいに残酷、でも感情移入させられるサスペンス、
→もしくは、どろどろ血みどろの復讐劇、、、

そんな枠にははめられない、本作「愛の不時着」の魅力を考察し、ほかの韓国ドラマと違う特筆すべき点をまとめたいと思います。

 

 

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<写真:tvN公式HP>

 

北朝鮮のリアルなイメージ
やはりこのドラマがほかの作品と大きく抜きんでる要素となっているのは、北朝鮮のリアルをテーマにしているところかと思います。

日本人にとっても韓国人にとっても、いつもニュースの報道でしか聞いたことのない北朝鮮。ミサイルとか金正恩とか拉致とか、何やら恐ろしいイメージばかりが先行しているけど、もちろん彼らも同じ空の下に暮らしている人間。こうやってみてみると、当たり前ですが、僕らと同じように、何かに一生懸命に、何かに笑い、何かに憂い、日々をひたすらに暮らしているということです。人が人を思う優しさだったり温もりだったり、テクノロジーが遅れている分、いろんなことがシンプルに、実直に、人々が触れ合っていて、心に響いてきました。

それは現代社会に失われた「人間らしさ」ではないかとすら思えます。同じ時代に生きてはいるものの、独裁政権のもと外界から遮断された社会。冷蔵庫も炊飯器もコーヒーメーカもない、日本で言ったら40年、50年前のような状態でしょうか。そんなタイムスリップ感、異次元の世界を垣間見ているような、山崎貴監督の映画Alwaysを見ているような感覚に近かったです。


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<写真:tvN公式HP>

北朝鮮の描写がどれだけ実情に即しているのか、あんなのドラマだから美化しすぎて、ぜんぶ嘘っぱちじゃないか??、、、という声が沢山聞こえてくるのは、皆行ったことのないところですし、当然です。しかし、今回のドラマ制作スタッフは実際に北朝鮮から脱北してきた脚本家を入れているようで、もちろんドラマなのでストーリー上、多少脚色いる部分はあるにせよ、これまでの北朝鮮をテーマにしたドラマや映画よりも格段に忠実だという評価を韓国内でも受けているようです。

 

②シリアスな中のコミカルさ
南北問題、、、普通に扱ってしまうとセンシティブな内容だし、すごく暗くなってしまうテーマだと思います。実際に北朝鮮テーマの作品は数多くありますが、とてもいい作品ではあってもやはり、ものすごく暗いことが多いです。。。

 

迫害を受けて命からがらに逃げてきたストーリー。

北から送られたスパイの物語。

政治的な大きな事件があるなかで揺れ動く二国間。。。などなど


そんな中で、この作品に関しては、もっともっと身近に、北朝鮮の実際の人々、普通の生活を描いている作品なのだと思います。常にどこかしら、人間らしさがコミカルにわざとらしくなく表現されています。主人公の部下の北朝鮮兵たち一人一人のキャラが立っていて、物語が進むにあたって、彼らへの感情移入がものすごくこのドラマへ引き込まれる要素であったりします。

主人公のリジョンヒョクとユンセリの恋模様以外の部分で、そういった兵士たちの想いや北朝鮮の村人たちの温かいやさしさに涙涙しながら、一方で彼らのちょっとおっちょこちょいだったり、おばかだったり、ちょっとずるかったりするところに人間らしさと親しみがわき、このドラマの世界観から抜け出せない状態になるほどです。

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<写真:tvN公式HP>

 

これは完全な余談ですが実際、韓国ドラマに限らず、鬼滅の刃のように、悲劇的なストーリの中のある種「救い」のようにコミカルやちょっとしたギャグみたいなものが、最近のヒット作の要素にあるような気がしています。

 

③サイドストーリーの太さ

もともとユンセリの敵というか、行く手を阻む存在であった詐欺師で国外逃亡のクスンジュンと、リジョンヒョクの婚約者であるソダン。本来であれば完全に交わりあうことのない2つの人生。彼らがこの物語が進む中で、いろんな微妙なコミュニケーションの駆け引きをしながら、少しずつ少しずつひかれあう姿はこのドラマの見どころです。そして、最後の予想だにしない結末。。最終的に主人公2人の行く末と同じくらいに、ハラハラとし、胸がキュンキュンとするような展開になりました。

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<写真:tvN公式HP>

最後に、これは個人的ですが、韓国語を勉強してある程度はなせる私としては、ソダン北朝鮮語に完全にトリコになりました。。。究極のツンデレというか、北朝鮮語で形式ばった敬語スタイルを使いながら、すごいきつい感じで話すんですが。これがまた逆にすごくかわいいというか。。。このソダン役のソジヘの映像をYoutubeで後から見て、「あ、普通に韓国語しゃべってる!!」って、当たり前ですが、すごく新鮮でした笑。それくらいこの人の演技が素晴らしかった、ということで。

 

とにかく今まで100本近くの韓国映画とドラマを見ている私として、TOP3に入る作品です。夜中に一人で最後まで見切りましたが、泣ける、とかそういうレベルじゃなくて、最後の3話くらいはずっと、嗚咽レベルです。すでに多くの人が今そうなっているように、愛の不時着ロスになっています。圧倒的におすすめ作品ですので、ぜひ。